7, Forget about past mistakes and focus your energy on the victories ahead.  
過去の失敗は忘れて、未来の勝利に集中しなさい。

カーリーグレイシーはつきっきりでスパーリングを見てアドバイスをくれた。
スパーリングの途中でフリーズという声がかかる。
フリーズとは動かないでそのままいなさいという意味。

スパーリング中の間違いはその場で正す。
その方が理解しやすいし、
実に成るのも早い。

フリーズがかかった時には何かの間違いをしている。
間違いは具体的なテクニックの間違いだけではなかった。

テクニックの変化に関するアドバイスもしてくれる。

テクニックの間違いはタイミングと反応の問題。

テクニックを覚えたら次は自由自在に変化させることを学んでいく。
毎日テクニックを教わってスパーリングを繰り返す。 

段々グレイシー柔術を覚えて来るとアドバイスの内容が変わってきた。
テクニックの失敗は小さなミスをしてしまうことから始まる。
そしてそのまま続ければ大きな失敗に成長する。

ホンの些細なミステイク。
その時には何とか誤魔化せても、それを元の状態に戻すことを怠ると
やがて大きなマイナスに変わっていく。

大きなマイナスは負けに繋がってゆく。
ホンの些細な負けへの始まり。

カーリーはそれを見逃さないでフリーズをかけるようになった。
ある程度僕のグレイシー柔術が進んだ頃から。

小さなミスを修正する。
これは簡単なようで案外難しい。

ある程度まで自分が有利な状態になればそのまま勝利に進みたい。
これが曲者だったりする。
ホンの小さなミスや誤差に目を瞑って強引に進んでしまうのだ。

グレイシー柔術の本質は相手の小さなミスを作り出し、
相手に気が付かないように広げてゆく。大きく広がるころには相手を仕留めている。

いくらテクニックで教わってスパーリングを繰り返しても、
相手のミスを誘えるようになっても忘れがちなのが
自分の小さなミスを見逃してそのまま修正しないで続けること。

これも人間の本質なのだろうか?

グレイシー柔術を覚えてきた頃が一番危険な時期になる。安心から慢心に変わるのかもしれない。

カーリーは徹底的にフリーズをかけて、
僕の慢心を怒る訳でもなく。
ただ淡々と修正してくれた。

小さなミスが重なって大きなミス=タップして技を極められる。
その時にはカーリーは決して怒らない。
困った顔付きもしない。

ただ教えてくれた。
こうやれば大丈夫と別のテクニックを教えてくれた。

困った時に悩むと良くない。
引きずれば別の良い方法を忘れる。

困った時には必ず良い方向がある。
困った時は次の最善を知る良い機会。
それをスパーリングで学ぶ。

闘いは常に前を向き最善を尽くす。
最善には躊躇や悪いことを引きずることは決して含まれない。

僕が自分で気がつくまでカーリーは優しく教えてくれた。

 カーリーの教え方は独特だった。