3, Give all your friends the feeling that they are valuable.  
すべての友人に示しなさい。「あなたは大切な人です」という感情を。

カーリーのアカデミーでのスパーリングはカーリーが時間もパートナーも決めて行う。
当時の僕に常にカーリーがつきっきりで教えてくれた。
スパーリングは色々な相手とやる。

他で格闘技をやっていた強い相手。
グレイシー柔術のテクニックが上手い相手。
体格が大きい相手。

どんどん相手が変わるとペースを保つのが大変になる。
凄く疲れた時には初心者や体力のない小さい相手が選ばれたりする。

そこで休むような雑なスパーリングをするとすぐにカーリーはスパーリングをストップした。

「今のスパーリングは弱くなるためにやるスパーリングだよ。」
「少し休んでからまたやろう」

カーリーは怒るでもなくそう言う。

自分で考える。
的確な指導とアドバイスがカーリーの教え方。
そして必要以外は教えないのもカーリーの教え方だった。

自分で考えて答えを出す。
その為に必要なことは全部教えてくれる。
最後の答えは自分で見つける。

その方が時間がかかっても最終的には優れたものが手に入る。

日本で学んだ柳生心眼流も同じ教え方だった。

グレイシー柔術の原点は前田光世先生の柔術。
前田先生は講道館柔道以前に日本の柔術津軽の本覚克己流(ほんごくこっきりゅう)柔術を学ばれている。

本来の習得の仕組みは似ているのかもしれない。
古い時代のグレイシー柔術には日本の柔術と共通した匂いを感じたりする。

スパーリングは闘いじゃない、闘いの為の準備の為にやる。
闘いには様々な状況が起こる。
その時に一々闘い方を変えていたら遅れを取る可能性が高まる。

いつもの動きをやるのが闘いの賢いやり方。

だから色んな相手とやる。

時には自分よりも小さな弱い相手ともやる。
相手に怪我をさせないようにはもちろん。
弱い相手にも良い練習になるようにする。

その為には沢山の経験と知識が必要になる。

弱い相手を休憩の相手ではなく、
完全にコントロールしながら自分のペースを崩さない。

相手に動きを教えてあげるように道を作って動かしてゆく。
そして時にはギリギリまで攻めさせたりもする。

ギリギリまでの闘いの方程式、
道筋が分からなければそれは出来ない。

闘いの方程式、
道筋を知れば自分よりも遥かに大きな相手や強い相手にも勝機は見出せる。

アカデミーに来たらみんな尊敬すべき相手として接する。
テクニックの時にもスパーリングの時にも。

スパーリングは一人では出来ない。
だから相手を大切にする。

それだけでは足りない。
どんな相手でも自分を強くする大切なパートナーに出来るように
テクニックを練習してゆく。

そしてパートナーにも良い練習になるように。
これが出来るなら自然に強くなっている。

相手を労わる、そして尊敬する。
相手が強くとも弱くともそれは変わらない。

どんな時にも変わらない。

カーリーグレイシーが教えてくれたグレイシー柔術の秘密。
グレイシー柔術は単なるスポーツだけではない。
生活に活かす日常を磨く為にもある。

本来の柔術はそうであった。

本覚克己流柔術の教えは
柔術とは国を司る民の心身を健やかにし
国を栄えさせる藩の宝である。

これは藩主が述べた言葉

グレイシー柔術のルーツは本覚克己流にある。