ディスプレイの問題？このメールをウェブブラウザで開きます。

インナーマッスルは意識で動かせない。

前回の連載で書いたようにインナーマッスルは自分の意識で動かすことは非常に難しいのです。この事実にいち早く気が付き、インナーマッスルを上手に動かす手法を研鑽してきたものが大陸と日本の武術、そしてインドのヨガであると考えられます。インナーマッスルが充分に適切に働くことでアウターマッスルも正しい動き・働きをします。インナーマッスルが動かないのに自分の意識でアウターマッスルを動かしすぎると体に問題が生じます。先日見たテレビ番組で言っていたことは数千年前からの東洋の体に関する知恵になります。

　インナーマッスルは体のバランスを維持する為に無意識に最適な動きを行い、その動きによりアウターマッスル、すなわち自分の意識で動かすことが出来る外側の筋肉の動きを決めていきます。テレビでは、やわらぎの理論である意識的運動指令と無意識的運動指令の関係そのものを、インナーマッスルとアウターマッスルの関係として紹介していました。ただしインナーマッスルを自分の意識で動かすという部分ではやわらぎとは全くの対局でしたが。

　インナーマッスルに関してはまだまだ未知の部分が医学においてあります。医学はその現象を全て実証することが不可欠ですから、真実に至るにはなかなか時間がかかるのでしょう。対して東洋の身体論は真実を突き詰めるのではなく、真実を認めいかに活用するかに心血を注いできました。こうやったらこのような良い結果になった！そのような経験の積み重ねが1000年単位でまとまったものが東洋の体に関する知識です。詳しい理由は分からないがこうすれば良い結果に導かれる！このシンプルな作業の結果出来たものが東洋の体に関する知恵になります。

　人が体を動かす時に、意識を超えたもう一つの何かの意識のようなものが常に体を一緒に動かしている。遥か昔に、誰かが、または同時に何人もの人たちが同じ原因に気が付いた。これは仮説です。

　もう一つの意識は決して間違えることなく常に働きます。自然の中で体を動かす時には常にその働きは適切に働き、人間が作った場所では何故か上手く働くことが出来ない。1000年以上も前の人々は日常において体を使って過ごしていたからこそ、現代からは想像も出来ない高い身体能力と身体感覚を持っていた可能性は高いのです。そういった人々が発見した身体理論は現代の医学を遥かにしのぐ可能性もあります。

　体に関する工夫を日々続けると、ある日このような発見をした可能性があります。『動きにくい場所で動く時に体は自身で性能を高めるのだ。だったら同じ動きをやりにくいように動かしたら。。。』この仮説理論が当たっていたとしたら、武術における不思議な型の動きの謎が解けていきます。また武術には、地球の力、自然の力を借りて鍛える、健康になる、健康を取り戻すという言葉も残っています。

　インナーマッスルは無意識に自分と地球の関係を一瞬で感じ取り、その情報がアウターマッスルの動きを決めます。インナーマッスルの情報が自然の中ではありえない楽な動きの時には体は不自然になり繋がらない状態になります。この無意識の運動指令が十分に働かない現代の生活環境、そして十分に整備され過ぎた運動環境が現代の体の問題の殆どを占めています。

　無意識に働くインナーマッスルを充分に働かす知恵は古い時代の東洋の身体論に既に存在していて、自分の意識を超えた地球との関係に秘密が隠されています。地球を変えてしまった我々は一見便利と思われる生活の代償として本来の健康を犠牲にしてしまった訳です。

　便利が不便を作り出すのですから、今度は逆に不便な動き、不自由な動きで体の自由を取り戻し健康も取り戻すことができます。便利と不便の関係は地球の環境問題と同様の関係になっています。人類の未来を危ぶませる環境問題の全ては、より便利な生活を願い人類が知恵を絞って生み出したものの結果であると言えるでしょう。環境問題と同じように、体についても人類は便利を思い描き、生活を便利にした結果、体の問題を引き起こし不便な体（不健康な体）になったのです。

1,腰に問題がある場合このようなストレッチをします。