平直行からの手紙〜2023年8月1日
１を聞き１０を知る？
指にはそれぞれの役割があります。
柳生心眼流には
指先はカラダの水先案内人
という口伝が残されています。
前回のメルマガで書いたように
指先の動きが全身の動きに
大きな影響を与えます。
柳生心眼流の学びで
何度も繰り返し
やったことがあります。
まず自分の指先を見ます。
じっと観察するように
師から言われます。
それで実際に絵を描きます。
大概違うと怒られます。
人は日常で見る物でさえ
普段から深く見ていない。
そのような教えも
この稽古には含まれます。
日常から全てを丁寧に観察する。
柳生心眼流は心眼
眼では見えない世界に秘訣が
込められています。
眼では見えない世界を見るには
目で見える世界を常に
注意深く見ることが欠かせません。
指先の絵を描いて
段々正解に近くなると
次に指先の骨格を見せて頂きます。
今では販売されていない
本物の死体から型をとった
骨格標本を使った学びが続きました。
指先の骨は想像したものとは
全く違っていました。
指先の骨はまるで釣り針のように
先端に引っかかる部分があります。
この解釈から学びが進み深まります。
武術は一つの教えから
いかに多くの意味を引き出し
知り使いこなすのか？
ここに学びの秘訣が隠れています。
１を聞き１０を知る。
これが武術の習得
そして日本的な教育の秘訣です。
引っかかりを教えてもらったら
次は筋引きという技法を学びます。
筋とは筋肉の動きの流れ
実際の解剖図とは異なります。
１を聞き１０を知る
その為に始めは少し騙すような
教え方をします。
初めから１０に至れば
中身の薄い１０になります。
１から始め自分で探しながら進む。
一見非効率なこの学びの進み方
ここに１を聞き１０を知るに
至る学びの秘訣が隠れています。
筋の流れを筋絡と呼びます。
筋絡の絡は経絡と同じ
筋絡と経絡は同じ絡
筋と経が違う
経絡はツボです
筋絡はツボを刺激した時に
起こる筋肉の流れ
これは仮説です。
仮説を使うとなかなか
面白い現象が実現できます。
一つの教えから
迷いながらも進む
これが１０に至る近道
１を知って
２を教われば１０には届かない
これも僕の仮説です
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